産婦人科医がおススメできる、妊娠中のおやつ

おやつ。
妊娠中でも、楽しみたいと思いませんか。

スイーツなどのおやつは、炭水化物を多く含みます。食べ過ぎると、エネルギー(カロリー)を摂りすぎてしまいます。
妊娠中に糖尿病になる妊娠糖尿病や血圧が上昇する妊娠高血圧症候群などのリスクが上がるため、妊娠中は特に注意が必要です。

でも、ポイントをおさえておけば、妊娠中でもおやつを楽しめます。
先日、妊婦健診を受けに来られた妊婦さんにおやつに関する質問を受けたので、ここでも解説しておきましょう。

どのくらい食べてもいいの?

妊娠中は、必要なエネルギー量が増えます。したがって、エネルギーは妊娠していない時に比べて適度に(妊娠の時期に応じて50~450kcal/日)多く摂る必要があります。

摂り過ぎているかどうかの判断は、体重の変化を目安にしましょう。
以下にお示しする体重増加量の範囲に収まっているなら、エネルギー量は概ね適正です。

妊娠中の適正な体重増加量

まず、自分の妊娠前のBMIをチェックしましょう。
BMIは、以下の計算式で求められます。

BMI=(妊娠前の体重  kg)÷(身長  m)÷(身長  m)

求めたBMIから、体重がどの程度増えたらよいかチェックしてみましょう。

  • BMIが18.5未満(やせ):12~15kg
  • BMIが18.5~25.0未満(ふつう):10~13kg
  • BMIが25.0~30.0未満(肥満1度):7~10kg
  • BMIが30.0以上(肥満2度以上):個別対応

※体格区分が「肥満2度」以上の方は、医師や助産師さん、栄養士さんと相談してください。

何を食べたらいいの?

体重の増加量も適正な範囲で、食事のバランスがとれているなら、何を食べてもかまいません。

「体重の増え方が適正範囲を超えそう」「食事のバランスに自信がない」という方は、次のポイントを意識してみましょう。

おやつは、おつまみ系にする

さきいかやチー鱈などのおつまみは、たんぱく質が比較的多く含まれています。
噛み応えもあるので食べ過ぎも防げます。

ただし、塩分が多く含まれているので、少しの量をゆっくり味わうようにしてください。

小魚やナッツ類もおススメです。素焼きのものを選んでみましょう。

食事を分けて食べる

妊娠中は、血糖値の変動が大きくなっています。その波をなるべく平坦にすると良いと言われています。
そのために、日に3回食べている食事を5回程度に増やすという方法があります。

3食で食べる食事の一部を10時・15時のおやつにします。

このとき、ご飯やパンではなくおかずを食べるようにしましょう。
たんぱく質や野菜を多めに摂ることができ、炭水化物の摂り過ぎも防げます。

炭水化物オンリーのおやつは控えめに

炭水化物は、体内で分解されるとブドウ糖になります。ブドウ糖が過剰に増えた状態が糖尿病なので、摂り過ぎないように注意が必要です。過剰になったブドウ糖は脂肪に変えて蓄えられるので、肥満にもつながってしまいます。

炭水化物を摂るときは、たんぱく質や野菜とともに食べれば血糖値が上がりにくくなります。
たとえば、米やめん類は炭水化物を多く含む食品ですが、おかずと一緒に食べることで血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

一方で、果物やスイーツは要注意。
果物に含まれる糖分は、血糖値に直結するブドウ糖ではないものの、糖分であることには変わりありません。
また、和菓子には、クリームやバターを使った洋菓子より「ヘルシー」なイメージがありますが、ほぼ炭水化物しか含まれていないという問題点があります。
いずれも食べ過ぎないように注意しましょう。

適正な体重増加量になる範囲で、バランスの良い食事をしましょう。
食べ過ぎなければ、おやつもOKです。
量より質で選びましょう。妊娠中こそ、美味しいおやつで楽しいひと時を!

なお、妊娠中に積極的に摂ってほしい栄養素については、以前の記事で解説しています。