妊娠を望むときに、受けたい医療とケア【英国編】

英国に、NICE(英国国立医療技術評価機構)という機関があります。NICEは、さまざまな医療的ケアについて、エビデンスに基づいたガイドラインを作成しています。
今日は、NICEが公開している不妊症に対するケアに関するガイドラインの「原則」をご紹介しましょう。

NICEによるケアの原則

情報の提供

医療を受けるのに、一番大切なことは「情報」です。
NICEによるガイドラインも、最初に情報の提供について書かれています。

なかなか妊娠しないカップルは、一緒に診察を受けるべきである。検査や治療に関する決定はカップルの双方に影響を与えるからである。

人々は、エビデンスに基づいた情報の提供を受け、ケアと治療に関して十分な情報に基づいた意思決定を行う機会を持つべきである。これらの選択は、意思決定プロセスの不可欠な一部として認識されるべきである。口頭による情報は、書面または視聴覚的な資料で補完されるべきである。

ケアおよび治療の選択肢に関する情報は、身体的、認知的、感覚的障害のある人、英語を話すことも読むこともできない人など、追加的なニーズを持つ人が利用しやすい形で提供されるべきである。

Fertility problems: assessment and treatment: Clinical guideline [CG156] by NICE

不妊問題の心理的影響

妊活中の心理的サポートは、非常に重要であるにもかかわらず疎かになっている部分と考えています。
NICEのガイドラインは、その点を「原則」のコアとして記しているだけでも高く評価できます。

カップルが不妊症の問題を抱えている場合、パートナーのストレスがカップルの関係に影響を与え、性欲や性交の頻度を低下させ、不妊症の問題を助長する可能性があることを、パートナー双方に伝えるべきである。

不妊症の問題を抱えている人には、不妊支援団体に連絡を取ることが助けになるかもしれないと知らせるべきである。

不妊症の問題を抱えいている人は、カウンセリングを受けるべきである。なぜなら、なかなか妊娠しないこと自体、そして検査や治療が心理的なストレスを生む可能性があるからである。

カウンセリングは、検査や治療の内容・結果にかかわらず、検査および治療を受ける前、受けている最中および受けた後に提供されるべきである。

カウンセリングは、カップルの不妊治療に直接関与していない者が行うべきである。

Fertility problems: assessment and treatment: Clinical guideline [CG156] by NICE

以前から、「妊活が辛くなったからカウンセリングを受ける」ではなく、妊活を始める前から継続的に情報提供や心理的なサポートを受ける環境を整えたいと妄想してきました。

「カウンセリングは、検査や治療の内容・結果にかかわらず、検査および治療を受ける前、受けている最中および受けた後に提供されるべきである」と原則に書かれてしまっては、ぐうの音も出ません。

総合医と専門医によるケア

不妊症の問題を抱えている人は、専門家チームによる治療を受けるべきである。その方が治療の効果と効率が向上する可能性が高く、治療に対する人々の満足度が向上することが知られているからである。

Fertility problems: assessment and treatment: Clinical guideline [CG156] by NICE

中丹地域には、不妊症専門のクリニックがありません。さすがに、最初に相談する医療者は英国のように家庭医ということはなく、どちらかの産婦人科医か泌尿器科医のことが多いでしょうが、必要に応じて不妊の専門家による治療も選択していくことで治療効果が高まります。

あなたの妊活に、必要なケアは?

検査や治療だけがケアではありません。
NICEが「原則」として掲げていた、①情報を得ること②心理的なサポートを忘れてはなりません。

情報を得る

NICEの原則にのっとると、まず妊娠や不妊症に関する情報を入手しなくてはなりません。
それは、治療を受ける、受けないにかかわりません。そして、カップルの2人ともが必要とされることです。

日本では、ご紹介したような不妊治療に対するガイドラインが存在しませんが、不妊治療の専門家集団である日本生殖医学会によるQ&Aなどで情報を得ることができます。

生殖医療Q&A(日本生殖医学会HP)

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また、疑問や不安があるときには、相談することも大切です。
たとえば京都府では、電話による相談を無料で受けることが可能です。以下の記事でご紹介しています。

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