妊娠中にしっかり摂りたい栄養素には、どんなものがあるの?

お母さんの体も赤ちゃんの体も、お母さんが食べたものからできています。
極端に神経質になる必要はありませんが、食べるものには気をつけましょう。

最も大切なのは、「何を食べてはいけないか」ではなく「どんな栄養素を摂るか」です。
今回は、WHOが提唱しているお母さんと赤ちゃんにとっての栄養問題を参考にしつつ、日本での現状も見てみましょう。

WHOが提起する、お母さんと赤ちゃんにとっての栄養問題

WHOが提起した問題は、次の7項目です。

  1. 葉酸欠乏
  2. 欠乏性貧血
  3. 母体のやせ(しばしば低身長を伴う)
  4. 母体の過体重や肥満
  5. 未治療の糖尿病(2型および妊娠性のもの)
  6. ヨウ素の不足
  7. カルシウムの不足

こうして見ると、エネルギー(カロリー)の摂りすぎによる肥満や糖尿病以外は、すべて必要な栄養素が不足しているのが問題です。
「何を食べてはいけないか」より「どんな栄養素を摂るか」が大切だということを表しています。

お母さんと赤ちゃんのために、妊娠前からできること

上記7項目への対策として、WHOが提唱するプレコンセプションケア(妊娠前からのヘルスケア)では、以下の項目が推奨されています。

  1. 貧血や糖尿病でないか、検査しておきましょう
  2. 鉄分と葉酸のサプリメントをとりましょう
  3. 適切な情報提供を受けましょう。必要なら、カウンセリングも受けましょう
  4. 栄養状態に問題はないか、チェックしましょう。BMIの値は、19-25の間にありますか?
  5. 高エネルギー・栄養素含有食で補いましょう(幸い、日本では必要なさそうです)
  6. 糖尿病なら、きちんとコントロールしておきましょう
  7. 定期的に運動をしましょう
  8. ヨウ素添加をした塩を使いましょう(これも、日本では必要なさそうです)

どれを見ても、日本にいるならそんなに困難なことではなさそうです。
ただ、妊娠するかもしれないすべての女性が達成できているでしょうか。あなたは実践できていますか。

厚労省が報告する、栄養に関する日本の現状

それでは、WHOが挙げた栄養に関する問題について、日本の現状を探ってみましょう。

参考にするのは、平成30年国民健康・栄養調査の報告です。
生殖年齢の女性を代表して、30-39歳のデータをご紹介します。

鉄分の1日摂取量の平均は6.8mg。
葉酸の1日摂取量の平均は249μg。
カルシウムの1日摂取量の平均は441mg。

19.3%がBMI18.5未満のやせ。
11.5%がBMI25以上の肥満。
糖尿病が強く疑われる人の割合は0.5%。
運動習慣がある人の割合は8.9%。

では、それぞれの栄養はどのくらい摂取すればよいのでしょうか。
参考にするのは、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」です。
こちらも、30-49歳の女性の基準値をご紹介しましょう。

鉄分の1日摂取量の推奨量は10.5mg(月経がなければ6.5mg)。妊娠中期以降の推奨量は16mgになります。
葉酸の1日摂取量の推奨量が240μg。妊娠中の推奨量は480μgになります。
カルシウムの1日摂取量の推奨量は650mg。

あら、大変!
鉄分、葉酸、カルシウム、いずれも不足しています。

国民健康・栄養調査は、調査の対象になった人に詳細な食事記録をつけてもらうため、対象者数が限られています。そのため、平均値をとっても、日本国民”全体”の傾向とは言えないでしょう。当然、あなたの食生活とは違っていることでしょう。
それでも、あなた自身がこれらの栄養素を十分に摂れているか、日頃の食生活を見直してみる必要がありそうです。

食事に加えて気をつけたい栄養問題

プレコンセプションケアとして重要とされた定期的な運動は、妊娠中も継続することが勧められています。
無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。

また、両親や祖父母など、家族に糖尿病の人がいる場合には、機会があれば妊娠する前に糖尿病かどうかのチェックを受けておきましょう。

《参考文献》
平成30年国民健康・栄養調査報告:厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020年版)