妊活におススメの抗酸化物質とは?
おうちで妊活:男性版の記事でご紹介した、抗酸化物質は
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- 亜鉛
でした。
ビタミンA:色の濃い野菜を食べよう
どれだけ必要?
成人男性では900μgRAE/日、成人女性では700μgRAE/日です。
耐容上限量は2700μgRAE/日です。なお、この値には、カロテノイドが含まれていません。
サプリメントを摂りすぎたりレバーを食べすぎたりしなければ、過剰になることはまずありません。
ビタミンAの摂取源として重要な食材は?
ビタミンAを多く含む食材は、レバー、うなぎ、チーズ、卵、緑黄色野菜です。
レバーやうなぎを毎日のように摂るのは、そんなに容易ではありません。
実際、日本人のビタミンAの主要な摂取源は緑黄色野菜です。
緑黄色野菜は、定義が「可食部100gあたりにカロテンを600μg以上含む野菜」ですから、ビタミンAが豊富なのは当然と言えるでしょう。
緑黄色野菜を見分けるポイントは、色の濃さです。緑、黄色、オレンジ、赤などの、中までしっかり色が濃い野菜と覚えておきましょう。
緑黄色野菜をたっぷり使って、視覚的にも栄養学的にも目に嬉しい食事を
ビタミンAのうち抗酸化作用を発揮するのは、主にカロテノイド(植物に含まれるプロビタミンA)と言えます。
抗酸化作用を期待する場合には、緑黄色野菜を積極的に食べてカロテノイドを摂取するように心がけましょう。
ビタミンC:毎日の食卓に果物を
どれだけ必要?
成人では、100mg/日です。
ビタミンCは過剰に摂取しても消化管での吸収率が下がり、また尿中への排泄量が増えます。
そのため、耐容上限量は策定されていません。
ただし、通常の食品とは別に、サプリメントなどで1g/日以上摂取することは推奨されていません。
ビタミンCの摂取源として重要な食材は?
ビタミンCは、野菜と果物に多く含まれています。
特に多く含む野菜としては、ピーマン、ブロッコリー、キャベツや菜花などがあります。
果物では、アセロラやグァバ、キウイのほか、柿やいちご、多くの柑橘類がたくさん含んでいます。
芋類ならじゃが芋です。
なお、ハムやソーセージの含有量が多いのは、酸化防止剤として添加されているからだと考えられます。
日本では、ビタミンCは秋~冬が旬!?
ビタミンCは、季節によって摂取量が大きく異なる栄養素です。日本で実施された調査によると、秋~冬の摂取量が多いことがわかっています。
ミカンなどの果物をよく食べる季節の方が、摂取量が増えるということかもしれません。
最近は、市場には多くの種類の果物が流通しています。
冬の代名詞だったみかんなどの柑橘類も、品種によっては今の季節でも手に入ります。
カットフルーツなど手間を省いてくれる商品や、ジュースなどの加工品も店頭に並んでいます。
食後のデザートや間食のとき、皆さんは何を召し上がっていますか。
スイーツも魅力的ですが、果物もその選択肢に入れてみませんか。
手軽に、抗酸化力アップが期待できますよ。
ビタミンE:おつまみには、ナッツを
どれだけ必要?
男性が6.5mg/日、女性が6.0mg/日です。
血中α-トコフェロールが12μmol/Lを切ると、過酸化水素水による溶血反応が上昇することから、血中α-トコフェロールの値が12μmol/Lを維持できる量が目安の基準とされています。
日本人を対象にした研究では、サンプル数が少ないものの、すべての集団で血中α-トコフェロールの値は22μmol/L以上に保たれていました。
そこで、目安量は日本人が摂取しているα-トコフェロールの中央値を基に設定されています。
ビタミンEの摂取源として重要な食材は?
グレープシードオイルのビタミンE含有量が断トツです。
他にビタミンEを多く含む食材は、アーモンドやヘーゼルナッツ、落花生などのナッツ類とひまわり油などの植物油です。
亜鉛:男性の生殖にとって、必須のミネラル
どれだけ必要?
男性の推奨量は11mg、女性が8mgです。
亜鉛は、体内ではタンパク質と結合して、触媒として或いは構造を維持するために働くミネラルです。欠乏することはめったにありませんが、皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、免疫機能障害、成長遅延、性腺発育障害などを起こします。
亜鉛は精液に多く含まれ、男性の生殖機能に欠かせない微量元素です。抗酸化作用のほか、男性ホルモンの産生や精子形成にも関わります。
亜鉛が欠乏すると、精子形成を阻害するほか、テストステロン(男性ホルモン)の濃度も低下します。
亜鉛の摂取源として重要な食材は?
亜鉛を多く含む食材は、少し偏っています。
魚介類が多く、牡蠣、鯉、カタクチイワシやからすみなどの加工品やホタテなどの貝に多く含まれます。
肉類では牛肉に多く、他の食材では、卵黄やチーズ、小麦の胚芽などにも比較的多く含まれています。
時々でOK!亜鉛リッチなメニューを楽しもう
亜鉛は、献立ごとに摂取量が大きく異なる栄養素であるため、毎日推奨量を達成することを目指す必要はありません。
時々でかまわないので、亜鉛を多く含む牡蠣や牛肉、チーズなど、少しリッチなメニューを楽しんでみましょう。
サプリを買うより、食事の工夫を
コクラン・レビューによると、抗酸化作用があるサプリメントの不妊症に対する効果は、男性・女性ともに検討されています。
抗酸化作用のあるサプリメントは、他にもコエンザイムQ10、アルギニン、メラトニンなどがあります。
男女ともに、これらのサプリメントを摂取した場合、出生率が上昇する可能性が示唆されています。
(男性不妊症に対する抗酸化物質:de Ligny W, Smits RM, Mackenzie-Proctor R, Jordan V, Fleischer K, de Bruin JP, Showell MG. Antioxidants for male subfertility. Cochrane Database of Systematic Reviews 2022, Issue 5. Art. No.: CD007411. DOI: 10.1002/14651858.CD007411.pub5.)
(女性の低受胎に対する抗酸化剤:Showell MG, Mackenzie-Proctor R, Jordan V, Hart RJ. Antioxidants for female subfertility. Cochrane Database of Systematic Reviews 2020, Issue 8. Art. No.: CD007807. DOI: 10.1002/14651858.CD007807.pub4. )
ただし、いずれもエビデンスの確実性は高くありません。
数ある抗酸化作用のあるサプリメントからどれを選ぶのかに迷ったら、食事からでも摂れるビタミン類をしっかり摂ることを考えましょう。