妊娠中に注意が必要な食中毒は?
妊娠中だとかかりやすくなる食中毒菌があります。
それは、リステリア菌です。
リステリア菌とは、土や水の中、牛や家きんなどの動物に存在する細菌の一種です。
日本では、リステリア菌による食中毒の報告はほとんどありませんが、欧米などでは重篤な食中毒を起こす菌として知られています。
リステリア菌は、どんな菌?
保存中にも増殖してしまう菌
リステリア菌は、他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅します。
しかし、低温や12%食塩濃度下でも増殖できるという特徴を持っています。
すなわち、食品を冷蔵庫で保存したり、塩漬けしていても、リステリア菌が存在すれば増殖して食中毒の原因になる恐れがあります。
妊娠中に感染しやすい
健康な成人では、リステリア菌による食中毒を発症するには非常に多くの菌数が必要です。そのため、賞味期限や保存方法を守っていれば、食中毒が発生するほどの菌数にはなりません。
しかし、免疫機能が低下している場合などでは、少ない菌数でも発症する可能性があります。
妊娠中も、リステリア菌に感染しやすいことが分かっていて、およそ20倍かかりやすいとも言われています。
妊娠中に感染すると、流産や死産の原因になることもあります。
重症度はさまざま
リステリア菌の食中毒は、軽症で自然に治ることも少なくありません。
典型的な症状としては、悪寒、発熱、筋肉痛といったインフルエンザのような症状が出ます。
重篤になると、敗血症や髄膜炎などを引き起こし、けいれんや意識障害が出ることもあります。
妊娠中に気をつけたい食品
欧米では、ナチュラルチーズなどの乳製品、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品、サラダなどでリステリアによる集団食中毒が発生しています。
国内でも、乳製品、食肉加工品や魚介類加工品などから、とても菌数は少ないですが、リステリア菌が検出されることがあります。
したがって、下記のような食品は注意が必要です。
- 生ハム・パテなどの食肉加工品
- 未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(加熱をせずに製造されるもの)
- スモークサーモンなどの魚介類加工品
たとえば、チーズを使っていてもしっかり加熱したピザであれば、問題なく食べることができるでしょう。
リステリア菌による食中毒を防ぐための6つのポイント
厚生労働省は、家庭での予防方法を以下のとおり提示しています。
- 生野菜や果物などは食べる前によく洗う
- 期限内に食べるようにする
- 開封後は、期限に関わらず速やかに消費する
- 冷蔵庫を過信しない
- 冷凍庫で保存する
- 加熱してから食べる
これらの予防法は、食中毒予防の基本になります。妊娠中だけでなく、常に意識するようにしておきましょう。
すべての生ものを避ける必要まではありませんが、長期保存できる食品は注意が必要です。また、加熱が難しいチーズなどの食品は、妊娠中は避けておきましょう。
食事や調理の前にしっかり手を洗うことも忘れずに実践してくださいね。
《参考文献》
リステリアによる食中毒:厚生労働省