妊娠中、腰が痛い時はどうしたらいいの?

妊娠中は、子宮が大きくなって重心が変わることやホルモンの変化によって腰痛が起こりやすくなります。突然の腰の痛みで全く動けなくなる、いわゆる「ぎっくり腰」になることもあります。
お家でできる腰痛対策についてお伝えします。

お家でできる、腰痛対策

衣服や靴でサポートを

大きくなったお腹を支える衣服を利用してみましょう。

腰痛対策としては、骨盤を締めてくれるベルトを活用するのもおススメです。

フラットシューズである必要はありませんが、ヒールは低めのものを選びましょう。ハイヒールは足前方に体重がかかり、腰への負担が増します。
足のアーチをサポートしてくれるタイプを選ぶようにしましょう。

姿勢に注意

座るときは、背もたれがある椅子に座り、腰枕を使うと良いでしょう。

物を持ち上げるときは、膝を曲げて腰をおろします。背中は真っすぐを保ったままで持ち上げましょう。腰をかがめて物をとるのは止めましょう。

寝るときは、横向きが良いでしょう。片方あるいは両方の膝を曲げます。抱き枕を使っても良いかもしれません。

長時間立つときは、スツールや箱の上で片足を休ませて、腰に負担をかけないようにしましょう。

温めたり、冷やしたり

鎮痛剤の成分を含む湿布剤は、妊娠中後期には使えません。
しかし、薬効成分が入っていなくても、温めたり冷やしたりするだけでも楽になることがあります。

急激に痛みが出た場合には、冷やすことを優先して安静を保ちましょう。
慢性化したり長引いてくるものには、温めてあげましょう。

使ってみて、心地よい方を選ぶのでもかまいません。

カラダを積極的に動かそう

合併症などがない状態であれば、妊娠中も運動を制限する必要はありません。むしろ、適切に体を動かしている方が腰痛予防になります。

ここでは、妊娠中にもおススメできる運動をご紹介しておきましょう。

  • ウォーキング:早歩きをすれば、全身トレーニングになります
  • 水泳、水中でのトレーニング:水による浮力があるので、負担が減ります
  • ヨガ、ピラティス:マタニティ向けのものを選びましょう
  • エアロバイク:妊娠週数が進んでも、エアロバイクなら固定されているので安心です

今までもランニングやジョギング、テニスなどのスポーツをしていた場合は、無理のない範囲でそれらのスポーツを続けてもかまいません。

薬膳による、腰痛対策

薬膳では、腰痛の原因別に異なる対策をとります。まず、ご自分に当てはまる原因をチェックしてみましょう。

冷えからくる腰痛

足腰が冷え、重たい感じがする、温めると良くなるのは、冷えによる腰痛です。
寒い季節や、冷たいもの・生ものを摂りすぎた食生活などが原因になります。

薬膳では、温める食材を用いて腰痛をやわらげます。
食材では、生姜、ネギ、ピーマン、山椒、唐辛子、黒砂糖などを使います。
食材だけではなく、衣服などでも冷やさない工夫を重ねましょう。

瘀血からくる腰痛

持続する腰痛、刺すような痛み、もんでもよくならないときは、瘀血による腰痛です。
ケガや慢性的な病気のために血が滞ったことにより痛みが生じます。

薬膳では、血を巡らせることで腰痛をやわらげます。
食材では、唐辛子、ネギ、チンゲン菜、玉ねぎなどを用います。
血を巡らせるために、体を積極的に動かしましょう。

肝腎陰虚からくる腰痛

足腰がだるくて痛む、疲れると痛みが増す、口が乾く、ほてり、のぼせなどがある場合は、肝腎陰虚による腰痛です。
肝腎が弱ることで津液が損なわれ、体内に熱がこもって痛みが出ます。

薬膳では、肝腎の陰を補って腰痛をやわらげます。
食材では、黒ごま、黒豆、卵、豚肉、牡蠣、ほたて、ぶどうなどを使います。
水分もしっかり摂るようにしましょう。

軽い腰痛であれば、これらのお家でのケアでも十分対応できます。
とは言え、痛みが強くなったとき、なかなかおさまらないときは、産婦人科医や助産師に相談なさってくださいね。

《参考文献》
Back pain during pregnancy:アメリカ産婦人科学会