妊活のために必要なビタミンは?

今すぐ知りたい!不妊治療Q&A』によると、妊娠のために特に必要なビタミンは、

  1. 葉酸
  2. ビタミンD
  3. ビタミンE

とされています。

葉酸:胎児の神経管閉鎖障害を防ぐため

どれだけ必要?

推奨量は240μg/日です。

葉酸欠乏である巨赤芽球性貧血を予防するために必要である、食事性葉酸の最小摂取量が200μg/日程度であろうという報告に基づき、推定平均必要量は200μg/日とされています。推奨量はその1.2倍として定められています。

妊活中~妊娠初期には、もっと必要

胎児の神経管閉鎖障害は、受胎後およそ28 日で閉鎖する神経管の形成異常であり、臨床的には無脳症、二分脊椎などの異常を起こします。
受胎前後に葉酸のサプリメントを投与することで、神経管閉鎖障害のリスクが低減することは数多くの介入試験で明らかにされています。先行研究によると、その必要量は狭義の葉酸として400 μg/日です。

多くの場合、妊娠が判明するのは受胎後およそ28 日間よりも遅いため、妊娠初期だけでなく、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、上記の値を摂取することで神経管閉鎖障害発症を予防することが勧められています。

食事性葉酸についても、理論的には神経管閉鎖障害発症を予防する可能性がありますが、データが不足しているため、食品以外からの狭義の葉酸摂取として400μg/日が推奨されています。

しかしながら、この障害の原因は葉酸の不足だけでなく複合的なものであるため、葉酸のサプリメントだけでその発症を予防できるものではないこと、上記の量を摂取すれば必ず予防できるというわけではないことにも注意が必要です。

葉酸の摂取源として重要な食材は?

100g当たりの含有量が少なくても、摂取量が多い食品の場合、比較的たくさん葉酸を摂ることができます。

その代表が卵です。卵には100g当たり43μgの葉酸が含まれています。
週に5個の卵でも、1日当たり17μgの摂取量になります。

お米や麦、特に玄米も見逃せません。主食として食べると毎日の摂取量が多くなるため、安定して葉酸の摂取源となります。

妊活には、食事の他に葉酸サプリメントを
妊娠をお考えの方、妊娠初期の方は、サプリメントで葉酸を補っておきましょう。
大切なプレコンセプションケアのひとつです。

ビタミンD:充足している方が妊娠率・出生率が高い

どれだけ必要?

実は、ビタミンDは我が国におけるエビデンスが不足しているため、推定平均必要量が算定されていません。
目安量である8.5μg/日は、全国4地域における食事調査結果データの中央値を平均した値です。

ビタミンDの不足は、骨折のリスク因子です。日本内分泌学会・日本骨代謝学会は、「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」を発表し、血清の25-ヒドロキシビタミンD濃度が30ng/mL以上をビタミンD充足、20ng/mL以上30ng/mL未満をビタミンD不足、20ng/mL未満をビタミンD欠乏としました。

我が国の調査では、血清ビタミンDの濃度が20ng/mL未満の人が半数程度いることから、ビタミンDは不足しがちのビタミンと考えてもよいかもしれません。

ビタミンDの摂取源として重要な食材は?

魚に多く含まれ、きのこ類では特にまいたけに多く含まれます。

それ以外の食材でビタミンDを含んでいるものには、卵があります。
牛乳、肉類、穀類にもわずかに含まれています。

妊活には、魚ときのこ、そして日光浴
ビタミンDは、紫外線に当たることによって皮膚でも産生されます。
天気のいい日は外に出て、身体を元気に動かしましょう。

冬は、サプリに頼っても…

食事摂取基準2020年版によると、日照がビタミンDの栄養状態に及ぼす影響に関して、10μgのビタミンD産生に必要な日照量は、600cm2(顔面及び両手の甲の面積に相当)の皮膚であれば、皮膚が赤くなる最小の紫外線量の1/3と算出されたそうです。
すなわち、皮膚に有害な作用を起こさない範囲で、ビタミンD産生に必要な紫外線量を確保することは、現実的に可能です。

ただし、紫外線量は、緯度や季節による影響を大きく受けます。
5.5μgのビタミンD3を産生するのに必要な日照への曝露時間を求めた報告によると、那覇では冬季でもビタミンDの産生が期待できますが、12月の札幌では正午前後以外ではほとんど期待できません。

夏の天気がいい日なら、札幌でも、数分の日光浴(顔と両手の甲だけでよい)で5μg程度のビタミンDを産生できます。
冬になると緯度が高い地方では難しく、日照時間が少ない日も産生できません。中丹地域はそこまで高緯度ではありませんが、曇りがちの日が多いことを考えると十分量を産生できるとは言えないかもしれません。

目安量の8.5μgを摂取できていても、皮膚で産生されるビタミンDが少ない場合は血清ビタミンDの量が不足する可能性があります。
魚やきのこ類でビタミンDをしっかり摂るだけでなく、天気がいい日には日光を浴びましょう。長時間である必要はありません。

そして、日照時間が短く紫外線量が少ない時は、食事で摂るビタミンDを増やすことを意識し、場合によってはサプリメントで補いましょう

ビタミンE:抗酸化作用と血流改善効果が期待できる

どれだけ必要?

男性が6.5mg/日、女性が6.0mg/日です。

血中α-トコフェロールが12μmol/Lを切ると、過酸化水素水による溶血反応が上昇することから、血中α-トコフェロールの値が12μmol/Lを維持できる量が目安の基準とされています。

日本人を対象にした研究では、サンプル数が少ないものの、すべての集団で血中α-トコフェロールの値は22μmol/L以上に保たれていました。
そこで、目安量は日本人が摂取しているα-トコフェロールの中央値を基に設定されています。

ビタミンEの摂取源として重要な食材は?

グレープシードオイルのビタミンE含有量が断トツです。
他にビタミンEを多く含む食材は、アーモンドやヘーゼルナッツ、落花生などのナッツ類とひまわり油などの植物油です。

間食がほしい時にはナッツをどうぞ
ナッツ類は良好なビタミンE源です。糖質の摂りすぎを防ぐためにも、間食として上手に取り入れるといいでしょう。
ただし、食物アレルギーの原因となることもあるので、注意が必要です。