妊娠してから困ることがないように、プレコンセプションケアから始めよう
妊活のゴールは何でしょうか。
妊娠?
いいえ、違います。
妊娠は、赤ちゃんとの生活のスタートでしかありません。
妊娠をゴールと思っていると、妊娠してから困ることが出てきてしまうかもしれません。
プレコンセプションケアとは、そんなことがないように、妊娠前に適切な知識や情報を得て、将来の妊娠のためのヘルスケアを行うことです。
妊娠前から健康状態をよくすることで、より安全かつ安心な妊娠・出産が可能になります。
世界的にプレコンセプションケアの重要性が強調されるようになってきました。2006年に米国疾病管理予防センター(CDC)が、2012年に世界保健機関(WHO)が、プレコンセプションケアを推奨しています。
日本でも、2015年に国立成育医療研究センター内にプレコンセプションケアセンターが開設されました。
プレコンセプションケアセンターのホームページには、プレコンセプションケア・チェックシートが掲載されています。あなたのこと、パートナーのこと、一度チェックしてみませんか。
今回は、その中で大切な項目を抜粋(一部アレンジ)してご紹介します。
日常生活に関するチェックポイント
- BMIは適正ですか?適正値は18.5~24.9です。適正の範囲に入っている人はキープしましょう。入っていない人は、入るように食事・運動を見直してみましょう。
BMI=体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)
例えば、155cm、53kgの人は、53÷1.55÷1.55=22.06となります。
- タバコを吸っていますか?受動喫煙も避けましょう。もし、パートナーも吸っているなら、一緒に禁煙がおススメです。
- アルコールを控えましょう。アルコールによって胎児に影響が出ることがあります。
- 定期的に体を動かしていますか?20~30分程度の運動を週に何回かしてみましょう。まとまった時間がとれなければ、ふだんの活動で体を大きくしっかりと動かすことを意識しましょう。
- ストレスはありませんか?ストレスがたまりがちなら、ストレスを解消する方法ややり過ごす方法を考えてみましょう。
- 食事はバランスよく摂っていますか?極端なダイエットはバランスを崩しがちなので、注意が必要です。また、葉酸は、妊娠前から市販のサプリメントを活用して積極的に摂取するようにしましょう。
バランスのとれた食事とは、炭水化物を中心とした主食、タンパク質源となる肉や魚がメインの主菜、野菜や海藻などを使った副菜が組み合わさった「定食」のようなものが理想的です。
4群点数法を活用すれば、バランスよく栄養素とエネルギーを摂取することができます。
外食も多い方には、食事バランスガイドによるチェックが簡便でおススメです。
病気に関するチェックポイント
- がん検診を受けていますか?子宮頸がん・乳がんは若い女性に多いがんです。子宮頸がんは20歳から、乳がんは40歳からがん検診が勧められています。
- 生活習慣病はありませんか?血圧や血糖値は高くありませんか。高血圧や糖尿病は、妊娠に影響を及ぼします。40歳からは特定健診でのチェックが可能です。
- 風疹のワクチンは接種していますか?妊娠中に風疹にかかると、赤ちゃんに影響が出ます。ワクチンをあらかじめ接種し、感染を予防しましょう。
- いま飲んでいるお薬はありますか?その薬が妊娠中に飲めるかどうか、知っておきましょう。飲めない場合、代替できる薬があるか確認しておくと安心です。
- 治療が必要な持病はありますか?その病気そのものや治療が妊娠に与える影響、妊娠中に悪化する可能性などについても、主治医の先生に確認しておきましょう。
ライフプランに関するチェックポイント
- 将来の妊娠・出産やライフプランについて考えたことはありますか?子どもがほしいのかどうか、それはいつ頃か、何人か、仕事はどうするのか、考えてみましょう。ここで忘れてはいけないことは、プランには変更がつきものだということです。柔軟に対応していきましょう。
- 将来の妊娠・出産やライフプランについてパートナーと話し合ったことはありますか?“妊活”はパートナーと一緒にすることが大切です。とは言っても、意識のずれが起こりやすいことも否めません。そんなずれも含めて、パートナーの気持ちや考えを聴きましょう。そして、自分の気持ちや考えを伝えましょう。
- “妊活”について相談できる人はいますか?プライベートな話題であるためか、相談できる相手がいなかったり、周囲に協力を求められないカップルが多いという調査結果があります。最近は、全国に不妊専門相談センターも開設されてきているので、活用しても良いでしょう。
あなたは“妊活”のために何をしていますか。
基礎体温をつける、排卵の時期をチェックする、といった妊娠に直接つながること以外にも目を向けてみましょう。“妊活”では総合力が問われます。
そして、自分だけではなく、パートナーも一緒になって、自分たちの健康と生まれてくる赤ちゃんの健康につながるヘルスケアを実践しましょう。