産後に引き締めたい、骨盤底筋群

産後のカラダで気になる部分はどこですか?
引き締めたいところ、ありますか?

産婦人科医としてお勧めしたい引き締めポイントは骨盤底筋群です。

骨盤底筋群とは

骨盤底筋群は、内臓をハンモックのように支えている薄い筋肉群です。
これらの筋肉は、骨盤内にある膀胱や子宮、腸などの内臓を支え、また尿道や肛門を締める役割も果たしています。

妊娠して大きくなる子宮を支えた骨盤底筋群は、分娩時には赤ちゃんが通る産道の一部となります。そのため、妊娠・分娩によって、しばしばダメージを受けてしまいます。
すると、尿道口や肛門を締める括約筋の力が弱まり、尿失禁(尿漏れ)やオナラの我慢が難しくなったりします。
また、内臓を支える力が弱まるため、腟に向かって内臓が下がってくることもあります。

骨盤底筋群を引き締める、骨盤底筋群体操

骨盤底筋群体操は、骨盤底筋群の筋トレです。筋トレをすることで、妊娠・分娩によるダメージを修復し、筋肉の力を強くするものです。
最低3ヶ月は続けて行うと効果が出ると言われています。気長に続けてみましょう。

姿勢は、立っていても、座っていても、横になっていてもOKです。
負担のない方法で始めましょう。

  1. 初めに息をゆっくり吐きます。続けて、息を吸います。
  2. 次に息を吐くときに、骨盤底筋群を引き上げることを意識します。具体的には、前の方からおしっこを我慢する、腟を引き上げる、お尻を締める、という順番で筋肉を引き締めます。
    ※この時、腹筋や太ももの筋肉に余計な力が入らないように注意しましょう。
  3. 息を吐ききったら、自然な呼吸を繰り返します。
  4. 10秒ほど引き締められたら脱力してゆるめ、しばらくリラックスします。
  5. 1~4を繰り返します。
  6. 最初は、この動作を10回繰り返してみましょう。慣れてきたら、朝昼晩で10回ずつ。

おしり歩きも骨盤底筋を鍛えるのには効果的です。
テレビを見ながらでもかまいません。時間を見つけてやってみましょう。

気の力で内臓を引き上げる

中医学では、「気」が不足している状態を気虚と言います。気虚では、元気がない、疲れやすい、息切れ、食欲不振などの症状が現れます。

気が不足すると引き上げる力が足りず、内臓も下がりがちになると考えられています。
たとえば、胃下垂や子宮下垂、脱肛などが起こりやすくなります。また、気が頭まで届かないため、立ちくらみやふらつきを感じるかもしれません。
これらの症状がある場合は「気虚下陥」と言います。気を補うだけでなく、上昇させるはたらきを持った中薬を用いて対処します。

産後は、気や血を消耗した状態です。
骨盤底筋群体操での骨盤底筋群の引き締めを行いつつ、しっかり気血を補いましょう。