はっぴぃ薬膳では、可能な限り普段使いの食材で薬膳を実践することを目指しています。
しかし、薬膳料理を謳うからには、見た目にも薬膳らしさがあると、作るのも楽しくなるかもしれません。
そこで、今回は取り入れやすい「中薬」をご紹介し、毎日の食卓に薬膳”らしさ”を添えるお手伝いをしましょう。
中薬とは
中医薬膳学の歴史では、食べられるものとそうでないものの区別から始まり、飢えや中毒などの食の問題を解決していく中で、薬となりうるものを見つけ出し、やがて「食材」と「薬」を区別するようになりました。
穀類や肉類、野菜など、食べやすくておいしいものは食材として、生姜や紫蘇、ドクダミ、黄柏などは味は良くないが薬効のあるものとして分類されました。
この薬効のあるものを「中薬」と言います。
その中で、生姜や紫蘇など、食材としても使えるものを「食薬」と呼ぶこともあります。
気軽に試せる、おいしい中薬はコレ!
大棗(たいそう):補気類、温性、甘味
ナツメのことです。
ナツメは、補気類なので元気を出したいときに取り入れたい中薬です。
血を補い、精神を安定させる効果もあります。
甘麦大棗湯という漢方薬にも含まれています。
取り入れ方
スープや煮物に入れると良いでしょう。
たとえば、鶏肉のプルーン煮。
プルーンの代わりに乾燥ナツメを使ってみましょう。
乾燥したものでも、じっくり煮込めば柔らかくなります。
鶏肉も補気類なので、気を補う一品になります。
胡桃(ことう):助陽類、温性、甘味
クルミのことです。
クルミは助陽類なので、全身の冷えが強い人に取り入れてほしい中薬です。
腸を潤し、便秘を改善させる効果もあります。
取り入れ方
パンやケーキに入れたり、炒めものに加えると良いでしょう。
薬膳パンでは、クルミと黒糖を使ったパンがお勧めです。
どちらも体を温めます。
牛肉や鶏肉とピーマン、クルミを炒めると、気を補いながら体を温める一品になります。
百合(びゃくごう):滋陰類、微寒性、甘味
百合根のことです。
百合根は滋陰類なので、喉の乾燥が気になるときなどに用います。
精神の安定を図るはたらきもあります。
百合知母湯、百合固金湯などの方剤に含まれています。
取り入れ方
百合根と考えれば、取り入れるのは難しくないかもしれません。
茶碗蒸しやスープのほか、デザートに使っても良いでしょう。
私は、卵とじにするのが好きです。
銀耳(ぎんじ):滋陰類、平性、甘味・淡味
白木耳のことです。
白木耳は、肺を潤し、胃を養うはたらきを持った滋陰類です。
美容効果も期待できます。
取り入れ方
白木耳は、クセがなく味もほとんどありません。
デザートにも、炒めものにも、スープにも、合わせやすい食材です。
乾物として売られているので、水でもどして使います。
お勧めは、中華風のデザートとして食べる方法です。
砂糖を加えた水で白木耳を煮て、クコや百合根を加えます。
冷やして食べると、つるんとおいしい一品になります。
枸杞子(くこし):滋陰類、平性、甘味
クコの実のことです。
クコの実は、滋陰類です。
肝腎の陰を補うので、”妊活”にも取り入れたい食材であり、目の不調を改善するはたらきもあります。
取り入れ方
クコの実は、杏仁豆腐の上に飾られているのを見たことがある方も多いと思います。
薬味としてお粥にのせてもよし、スープやサラダに入れてもよし、いろいろな使い方ができます。
水かお酒で少しふやかしてから使うと良いでしょう。
松子(しょうし):滋陰類、温性、甘味
松の実のことです。
松の実も滋陰類です。百合根と違って温性に属します。
潤す効果で便秘の改善も期待できます。
取り入れ方
松の実を用いた料理としては、ジェノベーゼソースがあります。
バジルと松の実、粉チーズ、オリーブオイルで作ります。
また、豚肉の野菜炒めなどにアクセントで使ったり、ケーキやパンに入れると良いでしょう。
ナッツ類にアレルギーがある方は、クルミやピーナッツなどと同様、アレルギー症状が出る可能性があるので注意してください。
まとめ
中薬のうち、おいしく取り入れやすく、それだけで薬膳”らしさ”が出る食材をご紹介しました。
補気類、助陽類、滋陰類とどれも虚しているもの(不足しているもの)を補う食材なので、使いやすいのも特徴です。
いつもの料理に、体調に合わせてこれらの食材を添えてみましょう。
「自分や家族の体調はどうだろう?何を使ったらよいのだろう?」と考えることが、薬膳のキホンを実践していることになります。
取り入れやすいところから少しずつ、気軽に薬膳を実践していきましょう。
はっぴぃ薬膳のインスタグラムでは、二十四節気ごとの旬の食材とそのはたらきなどをご紹介してみます。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
