崩漏:生理の血が止まらない

女性のための薬膳

「崩漏」とは、月経が止まらずに、たくさん出たりだらだら続いたりすることをさします。
衝脈と任脈のはたらきが損なわれることによって、経血のコントロールができなくなることで起こります。

Nobuko
Nobuko

西洋医学的には、機能性子宮出血をさします。

機能性子宮出血は、不正出血の原因となる他の病気(子宮がんやポリープなど)ではないことを確認して初めて診断がつきます。また、妊娠に伴う出血かどうかも確認しなくてはいけないこともあります。

月経がなかなか止まらないときや、出血がずっと続いていて月経の時期がいつか分からない場合は、産婦人科を受診しましょう。

崩漏の弁証

中医学では、「崩漏」の原因となる病態(証)を以下のように考えます。どの状態が判断して(弁証)、それに合った治療(論治)を行います。また、出血の状態によって、治療戦略(止血を優先させるか、出血量を減らすか、回復後を見据えた治療を行うか)を変えます。
ここでは、出血のコントロールは西洋医学的な治療を優先するとして、その後の回復と維持を目的とした弁証論治をご紹介します。

薬膳のレシピも、食べる人の証に合ったものを考えるようにします。
具体的なレシピは、はっぴぃ薬膳のインスタグラムでご紹介しています。

脾虚

月経が止まらない。色は淡い紅色、サラサラとした血が続く。
疲れやすく、四肢が冷たい。顔色が白い。

薬膳的おススメ食材

脾を養う食材や気を補う食材を摂りましょう。

  • うるち米
  • とり肉
  • かつお
  • 干し椎茸
  • いんげん豆

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、固本止崩湯があります。

脾に関連して、脾胃を温めて月経痛を緩和するものとして、当帰建中湯という漢方薬があります。
当帰建中湯については、インスタグラムでピックアップして解説する予定です。

腎虚

月経が止まらない。血の色は淡い黒~赤、または鮮やかな赤。サラサラとした血が出る。
足腰が疲れやすく、めまいや耳鳴りがある。腎陰虚ではイライラして熱っぽい症状を伴う。腎陽虚では、四肢の冷えや夜間尿を伴う。

薬膳的おススメ食材

腎を養う食材を摂りましょう。

  • やま芋
  • えび
  • くるみ
  • 烏骨鶏
  • クコの実

用いられる方剤・漢方薬

腎気虚には固陰煎、腎陰虚には左帰丸、陰陽虚には右帰丸が用いられます。

漢方薬では、「のぼせ」などの症状があれば腎陰虚と考えて六味丸を、「足腰の冷え」などの症状があれば腎陽虚と考えて八味地黄丸を処方します。

虚熱

月経が止まらない。色は鮮やか、サラサラとしている。
口が渇く。硬便。

薬膳的おススメ食材

潤いを与え、熱をとる食材を摂りましょう。

  • 馬肉
  • セロリ
  • 白ごま
  • くちなしの実
  • いちご

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、両地湯があります。

虚熱がある状態に泌尿生殖器系の異常を伴ったものには、清心蓮子飲という漢方薬を処方します。残尿感や頻尿などの膀胱炎症状に用いられます。

実熱

月経が止まらない。色は深い赤、ドロッとした血が出る。
イライラして眠れない。冷たい飲み物を好む。大便が硬い。

薬膳的おススメ食材

身体の熱をとる食材を摂りましょう。

  • かに
  • 豆腐
  • トマト
  • きゅうり
  • バナナ

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、清熱固経湯があります。

漢方薬では、黄連解毒湯などを処方します。「のぼせ」「イライラ」などの症状を参考にします。

血瘀

月経が止まらない。色は暗紫色、血の塊が出る。
お腹が張って痛んだり、刺すような痛みがある。イライラする。

薬膳的おススメ食材

血の滞りを除き、巡らせる食材を摂りましょう。

  • チンゲン菜
  • くわい
  • ビート
  • ウコン

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、逐瘀止崩湯があります。

漢方薬では、桂枝茯苓丸や桃核承気湯を処方します。桃核承気湯は、血瘀による便秘に効果的です。

崩漏のためのセルフケア

証に合わせた薬膳とともに、日常生活にも気を配ることでセルフケアを行いましょう。

バランスのとれた食事を

脾や腎の気が不足する原因として、食事から摂る気が足りないことがあります。
栄養不足による月経異常も少なくありません。食事はしっかり摂りましょう。

健やかなカラダを作ろう

積極的に体を動かし、鍛えましょう。ただし、やりすぎは禁物です。
そして、ぐっすりと眠る時間を十分にとりましょう。

腎気を消耗しないために

妊娠を望まないときは、確実に避妊しておきましょう。
また、月経の異常を感じた時は、早めに産婦人科を受診し、きちんと治療を受けましょう。

参考文献

  • 妇科病手册:王阿丽主編(人民卫生出版社)
  • 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
  • 漢方製剤応用自在のユニット処方解説:秋葉哲生著(ライフ・サイエンス)
  • 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版:日本産科婦人科学会編集・監修(日本産科婦人科学会)
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