経間期出血:生理と生理の間に出血する

女性のための薬膳

「経間期出血」とは、月経と月経の間に、周期的に性器出血があることをさします。
出血量は少なく、2、3日で止まることが多いです。生殖年齢の女性でよく見られます。

Nobuko
Nobuko

西洋医学的には、機能性子宮出血の一つである「排卵期出血」を意味します。

排卵期出血は、排卵時に見られるエストロゲンの急激な変化に伴って、子宮内膜(月経の時に量れる子宮の内側の組織)が部分的にはがれてしまうことによって起こります。

多くの場合、出血量は少なく数日で止まりますが、期間が長引いたり出血量が多くなることもあります。

排卵期出血は、不正出血の原因となる他の病気(子宮がんやポリープなど)ではないことを確認して初めて診断がつきます。

排卵期に出血しているからと言って「排卵期出血だろう」と決めつけないでください。以前、「不正出血がある」と来られた方を診察して「おそらく排卵期出血でしょう」と説明したところ、その時に実施したがん検診の結果で異常が見つかったことがあります。

経間期出血の弁証

中医学では、「 経間期出血 」の原因となる病態(証)を以下のように考えます。どの状態が判断して(弁証)、それに合った治療(論治)を行います。

薬膳のレシピも、食べる人の証に合ったものを考えるようにします。
具体的なレシピは、はっぴぃ薬膳のインスタグラムでご紹介しています。

腎陰虚

月経と月経の間に出血がある。量は少ない、あるいは少し多い。色は紅色、サラサラとした血であり、血の塊は出ない。
めまいや耳鳴りがあり、腰や膝に力が入らない。夜、安眠できない。

薬膳的おススメ食材

腎を養う食材や陰を補う食材を摂りましょう。

  • もち米
  • 豚肉

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、両地湯合二志丸があります。

漢方薬では、六味丸を処方します。必要に応じて、気を補う漢方薬と一緒に用いることもあります。 

湿熱

月経と月経の間に出血がある。量は少し多い。色は深い紅色、ドロッとした血であり、血の塊は出ない。ふだんから帯下(おりもの)が多い。
精神的に疲れて力が出ない。体がだるくて力が抜ける。イライラして胸がつかえる感じ。

薬膳的おススメ食材

湿熱をとり除く食材を摂りましょう。

  • はまぐり
  • 小麦
  • 黒豆
  • トマト
  • メロン

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、清肝止淋湯があります。

下焦の湿熱によく用いられる漢方薬に、竜胆瀉肝湯があります。排尿痛や帯下など、下半身のトラブルによく用いられます。
竜胆瀉肝湯については、インスタグラムでピックアップして解説する予定です。

血瘀

月経と月経の間に出血がある。出血量は少ないか、少し多い。色は暗紫色、血の塊が出る。
お腹が張って痛んだり、刺すような痛みがある。イライラする。

薬膳的おススメ食材

血の滞りを除き、巡らせる食材を摂りましょう。

  • チンゲン菜
  • くわい
  • ビート
  • ウコン

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、逐瘀止血湯があります。

漢方薬では、桂枝茯苓丸や通導散を処方します。血瘀(瘀血)は、女性特有の体の不調の背景に隠れていることがよくあります。

経間期出血のためのセルフケア

証に合わせた薬膳とともに、日常生活にも気を配ることでセルフケアを行いましょう。

HAPPYな気持ちで過ごそう

抑うつ気分や怒りを遠ざけましょう。
作り笑いでかまいません。笑顔でいることを心がけていると、気持ちもHAPPYになっていきます。

健やかなカラダを作ろう

積極的に体を動かし、鍛えましょう。
しっかり動くためには、食べることも大切です。不必要なダイエットは禁物です。

腎気を消耗しないために

妊娠を望まないときは、確実に避妊しておきましょう。
経口避妊薬による避妊は、きちんと服用すれば不正出血もなく快適に過ごせます。

参考文献

  • 妇科病手册:王阿丽主編(人民卫生出版社)
  • 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
  • 漢方製剤応用自在のユニット処方解説:秋葉哲生著(ライフ・サイエンス)
  • 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版:日本産科婦人科学会編集・監修(日本産科婦人科学会)
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