月経過少:生理の量が少ない

女性のための薬膳

「月経過少」とは、月経周期は基本的に正常だが、経血量が以前より明らかに少なかったり、わずかな量の出血しか出なかったり、あるいは月経期間が2日以内で終わってしまうことをさします。

Nobuko
Nobuko

西洋医学的にも、経血の量が異常に少ないものを「過少月経」と診断します。20ml以下のものという目安がありますが、実際にはご自身の自覚症状で判断します。

月経の量が少ないと、

「妊娠しにくい原因では?」

「そろそろ更年期?」

などと心配する方がいらっしゃいますが、どちらも月経の量とは関係しないことが多いでしょう。

とは言え、過少月経の原因として排卵を伴わない無排卵周期症があったり、月経と思っていたものが不正出血を伴う病気のサインであったりすることもあります。月経の量が少ないことを気にされている方は、産婦人科を受診してその原因を調べてもらいましょう。

産婦人科では、不正出血の原因となるような病気の有無やホルモンの状態、子宮の形や子宮内膜の状態などを検査で確認します。

月経過少の弁証

中医学では、「 月経過少 」の原因となる病態(証)を以下のように考えます。どの状態が判断して(弁証)、それに合った治療(論治)を行います。

薬膳のレシピも、食べる人の証に合ったものを考えるようにします。
具体的なレシピは、はっぴぃ薬膳のインスタグラムでご紹介しています。

腎虚

月経の量が少なく、色は淡く、サラサラした血が出る。
腰がだるく、脚に力が入らない。めまい、耳鳴り。

薬膳的おススメ食材

気を補い、腎を養う食材を摂りましょう。

  • もち米
  • 羊肉
  • えび
  • やま芋

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、帰腎丸があります。

漢方薬では、腎虚には八味地黄丸や六味丸を処方します。冷えている人には八味地黄丸がよく、ほてりがある人には六味丸がよいでしょう。

血虚

月経の量が少なく、色は淡い紅色、サラサラとしている。
めまい、目のかすみ、動悸、不眠がある。

薬膳的おススメ食材

血を養う食材を摂りましょう。

  • いか
  • タコ
  • ほうれん草
  • 人参
  • 落花生

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、滋血湯があります。

血虚に対する基本的な漢方薬は四物湯です。むくみも伴うようなら、当帰芍薬散などを処方します。

血瘀

月経の量が少なく、色は暗紫色、小さな血の塊が出ることもある。
月経時に腹痛がある。お腹に押すと痛む場所(「瘀点」という)がある。

薬膳的おススメ食材

血の滞りを除き、巡らせる食材を摂りましょう。

  • チンゲン菜
  • くわい
  • ビート
  • ウコン

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、桃紅四物湯があります。
桃紅四物湯については、以前にインスタグラムでピックアップして解説しています。

漢方薬では、以前にご紹介した桂枝茯苓丸のほか、便秘を伴えば桃核承気湯などが処方されます。

痰湿

月経の量が少なく、色は淡い紅色、サラサラした血あるいはドロッとした血が出て、粘液が混ざることもある。
ぽっちゃり体格。胸が苦しい、嘔気がある。帯下(おりもの)が多い。

薬膳的おススメ食材

痰湿の滞りを除く食材を摂りましょう。

  • あさり
  • さと芋
  • 春菊
  • 豆乳
  • たけのこ

用いられる方剤・漢方薬

用いられる方剤には、蒼附導痰丸があります。

痰湿に対する基本的な漢方薬は、二陳湯です。「下半身の冷え」を伴うむくみには、苓姜朮甘湯を処方します。
苓姜朮甘湯については、インスタグラムでピックアップして解説する予定です。

過少月経のためのセルフケア

証に合わせた薬膳とともに、日常生活にも気を配ることでセルフケアを行いましょう。

月経期を健やかに過ごそう

月経期は、温かいものを摂るようにしましょう。冷たいものの飲食は控えめにして、身体を冷やさないようにしましょう。

また、湿をためないように、雨に濡れたり雨の中を長時間歩いたりすることを避けましょう。

気持ちを穏やかに

気分を落ち着かせましょう。
うつうつした気分や怒りの感情を抱かないように。

体を鍛えよう

体を動かし、可能な範囲で体を鍛えておきましょう。

避妊は確実な方法で

子宮内膜が癒着するアッシャーマン症候群は、流産の手術をきっかけに生じることもあります。
日本では、まだ流産処置が手術によって行われています。望まない妊娠を避け、可能な限り手術を受けずに済むようにしましょう。

参考文献

  • 妇科病手册:王阿丽主編(人民卫生出版社)
  • 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
  • 漢方製剤応用自在のユニット処方解説:秋葉哲生著(ライフ・サイエンス)
  • 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版:日本産科婦人科学会編集・監修(日本産科婦人科学会)
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