「月経先後無定期」とは、3回以上続けて月経の周期が7日以上前後にずれることをさします。

西洋医学的には、無排卵周期などによる「月経不順」の状態です。
「月経先期(頻発月経)」や「月経後期(希発月経)」と同様、排卵を伴うものも排卵を伴っていないものもあります。月経と思っていた出血が、月経ではなく不正出血である可能性もあります。
排卵が伴わない原因として、多嚢胞性卵巣症候群などが考えられます。出血の頻度が多かったり量がまちまちだったりする場合や、妊娠を希望している場合には、産婦人科を受診してその原因を調べてもらいましょう。
月経先後無定期の弁証
中医学では、「 月経先後無定期 」の原因となる病態(証)を以下のように考えます。どの状態が判断して(弁証)、それに合った治療(論治)を行います。
薬膳のレシピも、食べる人の証に合ったものを考えるようにします。
具体的なレシピは、はっぴぃ薬膳のインスタグラムでご紹介しています。
肝鬱
月経周期がばらついており、経血の量は多いこともあれば少ないこともあり。色は暗紅色、血の塊が出ることもある。
胸やわき腹の張りがある。
薬膳的おススメ食材
気を巡らせ、肝のはたらきを調える食材を摂りましょう。
- 玉ねぎ
- 蕎麦
- みかん
- 玫瑰花
- グリンピース
用いられる方剤・漢方薬
用いられる方剤には、逍遙散があります。
逍遙散については、インスタグラムでピックアップして解説する予定です。
漢方薬では、「イライラする」「のぼせる」などの症状をもとに、加味逍遙散などが処方されます。
腎虚
月経周期がばらついており、経血の量は少ない。色は淡く黒っぽく、サラサラとした血が出る。
腰や膝に力が入らない。めまいや耳鳴りがある。
薬膳的おススメ食材
腎気を補う食材を摂りましょう。
- 長芋
- 栗
- うなぎ
- 海老
- 羊肉
用いられる方剤・漢方薬
用いられる方剤には、固陰煎があります。
漢方薬では、「疲れやすい」「だるい」などの症状をもとに、八味地黄丸などが処方されます。
肝鬱腎虚
月経周期がにばらつきがあり、経血の量は多い時もあれば少ない時もあり。
腰や膝が疲れやすく、めまいや耳鳴りがある。乳房がはり、イライラしやすい。
肝鬱と腎虚の状態が重なったもの。
薬膳的おススメ食材
腎を補い、肝のはたらきを調える食材を摂りましょう。
- 海老
- 鹿肉
- なた豆
- 杜仲
- ライチ
用いられる方剤・漢方薬
用いられる方剤には、定経湯があります。
漢方薬では、「眠りが浅い」「イライラ」などの症状をもとに、抑肝散などが処方されます。肝鬱と腎虚に用いられる漢方薬を併用することもあります。
月経先後無定期のためのセルフケア
証に合わせた薬膳とともに、日常生活にも気を配ることでセルフケアを行いましょう。
気分を穏やかに
気分を落ち着かせましょう。ストレスの素を避け、過度の緊張がないようにしましょう。
働き過ぎや情緒を強く刺激するようなことは避けましょう。
規則正しい生活を
規則正しい生活を送りましょう。仕事と休息のバランスをとりましょう。
参考文献
- 妇科病手册:王阿丽主編(人民卫生出版社)
- 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
- 漢方製剤応用自在のユニット処方解説:秋葉哲生著(ライフ・サイエンス)