今日は、昼の長さが最も長くなる日です。
「季節の薬膳」コーナーでは、季節に合わせた薬膳を実践するために役立つ情報をお伝えしていきます。「夏至」では、長夏に盛んになる「脾」を意識した食養生をご紹介します。
長夏は、脾の季節
五行学説は、陰陽学説とともに、中医学の基本理論における重要な柱となっています。
五行学説とは、世界が「木」「火」「土」「金」「水」という5つの要素から成り立っていると考える理論です。
長夏は、大暑から白露までの時期をさします。五行のうち「土」に属します。
「土」は大地であり、万物の母です。春に種をまけば、秋には食物が収穫できます。したがって、生化・承載・受納の性質を持つものを帰属させます。
「土」に属する五臓は、脾です。長夏は、脾の機能が盛んになる時期と考えられています。
脾の大切なはたらきとして、「運化を主る」というものがあります。
脾は胃と共同して、陰食物を消化し、水穀の精微を吸収して全身に送り込みます。
脾気の損傷に注意
長夏の主気は「湿」です。湿は、長夏に盛んになる脾を傷めやすいので注意が必要です。
脾気が不足すると、運化が不足し、全身の元気が足りなくなります。疲れやすい、元気がない、食欲不振などの症状が出ます。
また、湿がたまることでお腹が張ったり、下痢や吐き気などの症状が出ることがあります。
脾のはたらきを高めるよう、リラックスすることを心がけましょう。
長夏の食養生:脾のはたらきを整える
脾の気を整えるためには、補気類を中心に用います。湿を取り除くための利水滲湿類も活用しましょう。
おススメ食材(補気類)
- いわし、うなぎ、鶏肉
- 南瓜、さつまいも
- うるち米、はちみつ
おススメ食材(利水滲湿類)
- 鱧、大豆、黒豆
- とうもろこし、レタス
- はと麦
土用の丑の日に食べるうなぎは、薬膳的にも理にかなった食材です。夏の暑さや湿気に負けないよう、体調を整えていきましょう。
次の「小暑」では、夏に摂りたい食材の五気六味についてお伝えします。
参考文献
- 実用中医薬膳学:辰巳洋著(東洋学術出版社)
- 基礎中医学:神戸中医学研究会編著(燎原)
- 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
- 食薬方剤学:本草薬膳学院
- 四群点数法で簡単カロリー計算!:https://4fgmethod.jp/weight/