芒種:蟷螂生(かまきりしょうず)

季節の薬膳

稲などの穀物を植える季節となりました。

「季節の薬膳」コーナーでは、季節に合わせた薬膳を実践するために役立つ情報をお伝えしていきます。「芒種」では、夏に盛んになる「心」を意識した食養生をご紹介します。

夏は、心の季節

五行学説は、陰陽学説とともに、中医学の基本理論における重要な柱となっています。
五行学説とは、世界が「木」「火」「土」「金」「水」という5つの要素から成り立っていると考える理論です。

夏は、五行のうち「火」に属します。
「火」は、火炎が上方に向かうように、温熱・昇騰の性質を持ちます。

「火」に属する五臓は、心です。夏は、心の機能が盛んになる時期と考えられています。

心の大切なはたらきとして、「血脈けつみゃくを主る」というものがあります。

心は、血を生成すること、そして心の拍動によってその血を全身に巡らせること、経脈が通利することを主っています。
また、心は精神思惟活動も主っているため、心の機能が正常であれば、意識もはっきりし思考も敏捷になります。

心火の上炎に注意

夏は心気が強くなるので、その度が過ぎてしまうことがあります。
すると、心気が上昇して頭や顔に火熱の症状をもたらすことがあります。顔面紅潮や口内炎、不眠などの症状が出やすくなります。

心がつかさどる感情は「喜」ですが、心は「神明を主る」はたらきがあるため、どんな感情でも激しいと心に異常をきたしてしまいます。
心気の異常がでると、焦りや胸苦しさ、動悸、狂躁などが現れ、心神不寧の状態になります。

心の気の穏やかさを保つよう、ゆったりと過ごすことを心がけましょう。

夏の食養生②:心のはたらきを整える

心の気を整えるためには、補気類や養血類、養心安神類の食材を用います。

おススメ食材

  • なつめ(心経に入る補気類)
  • 竜眼肉(心経に入る養血類)
  • 酸棗仁(養心安神類)

長夏について

ところで、四季と五行学説では、数が合いませんよね。5つ目の季節はあるのでしょうか。

五行学説では、季節ごとの変わり目(立春、立夏、立秋、立冬の前18日間)を5つ目の季節と考えました。そして、五行学説の「土」を当てはめたため、これらの時期を「土用」と言います。

特に、(中国の黄河領域で)雨の多い季節に当たる夏の終わりから秋の始めを「長夏」として、「土」の特徴を当てたりします。一般的に「土用」と言った時もこの時期に該当しますよね。
薬膳に取り入れる時は、季節の特徴から考えると日本では「梅雨」をイメージした方がより当てはまるかもしれません。

次の「夏至」では、この長夏に盛んになる「脾」についてお伝えします。

参考文献

  • 実用中医薬膳学:辰巳洋著(東洋学術出版社)
  • 基礎中医学:神戸中医学研究会編著(燎原)
  • 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
  • 食薬方剤学:本草薬膳学院
  • 四群点数法で簡単カロリー計算!:https://4fgmethod.jp/weight/
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