雪がいよいよ降りつもってくる季節となりました。
「季節の薬膳」コーナーでは、季節に合わせた薬膳を実践するために役立つ情報をお伝えしていきます。「大雪」では、冬に盛んになる「腎」を意識した食養生をご紹介します。
冬は、腎の季節
五行学説は、陰陽学説とともに、中医学の基本理論における重要な柱となっています。
五行学説とは、世界が「木」「火」「土」「金」「水」という5つの要素から成り立っていると考える理論です。
冬は、五行のうち「水」に属します。
「水」は、滋潤・下行の性質を持ちます。したがって、滋潤・寒涼・沈下の性質をもつものが属します。
「水」に属する五臓は、腎です。冬は、腎の機能が盛んになる時期と考えられています。
腎の大切なはたらきとして、「精を蔵す」「生殖・発育を主る」というものがあります。
「精」とは人体を構成し生命活動を維持する基本物質のことをさします。腎で蓄えられ、生まれつきに持っている「先天の精」と水穀の精微によって補われる「後天の精」があります。
「精」が充実すれば身体が丈夫になり精力も充実し、衰えれば身体も衰えます。
冬は養う季節です。しっかり養生して、「腎精(腎に蓄えられた精)」も補養するように心がけましょう。
腎気の不足に注意
腎の異常は、虚証であることがほとんどです。腎気の不足に注意が必要です。
腎虚には、腎陰虚と腎陽虚があります。「腎精」からは「腎陰」と「腎陽」が生まれるのですが、どちらも不足することがあるのです。
腎陰虚では、陰液が不足するため、乾燥を呈します。腎は生殖も主るため、腎陰虚になると、生殖機能も衰えてしまいます。
腎陽を温補するはたらきが足りないと腎陽虚になります。腎精だけではなく、身体を温める力も不足するので、冷えなどの症状を伴います。
冬は寒いだけでなく、乾燥しがちな季節なので、腎陽・腎陰ともに不足することがあります。体調に合わせてバランスよく補うように心がけましょう。
冬の食養生②:腎のはたらきを整える
腎陰を補うには滋陰類、腎陽を補うには助陽類の食材を用います。
おススメ食材(滋陰類)
- 牛乳、チーズ、卵
- 豚肉、猪肉
- 百合根、小松菜、白きくらげ
- 松の実、白ごま
おススメ食材(助陽類)
- 羊肉、岩魚
- くるみ
腎気を補うには、補気類も活用します。冬の基本は、「補うこと」と考えましょう。
次の「冬至」では、冬に摂りたい食材の五気六味についてお伝えします。
参考文献
- 実用中医薬膳学:辰巳洋著(東洋学術出版社)
- 基礎中医学:神戸中医学研究会編著(燎原)
- 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
- 食薬方剤学:本草薬膳学院
- 四群点数法で簡単カロリー計算!:https://4fgmethod.jp/weight/