涼しくなってきたら取り入れたい、温めるための薬膳素材

close up of shells over white background薬膳のはなし
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秋も深まり、冬支度が必要になってきました。今日は、体を温める薬膳素材を紹介します。

体の表面の邪を取り除く、辛温解表類

秋は燥邪、冬は寒邪が強くなります。これらの外界の邪が体に入りたての頃(表証という)に取り除くものを解表類と言います。主に、発汗することで邪を取り除きます。
このうち、風邪や寒邪を取り除くものが辛温解表類です。

辛温解表類は温性で体を温めますが、汗を出す力もあるので発汗しすぎると陽気を消耗してしまいます。適度に汗をかいて邪を取り除ける量にとどめ、使いすぎないようにします。

  • 生姜:お腹を温める、肺を温めて咳を止める
  • 葱白(ねぎ):陽気を通す
  • 三つ葉:咳を止め、血流をよくする
  • 茗荷:陽気を通し、毒を除く
  • 紫蘇:気の巡りをよくする

陽気を温補する、助陽類

陽虚証を改善する食薬を助陽類と言います。主に腎陽不足の改善に用いられることを考えると、”妊活”中の冷えには積極的に用いたいものになります。

  • 羊肉:虚弱を補い、下腹部を温める
  • くるみ:肺を温め、便通をよくする
  • 海老:胃のはたらきをよくし、毒を除く
  • 岩魚:腎精を補益する

助陽類に属する食薬は、熊肉や鹿肉、冬虫夏草のように手に入れにくいものが多いため、温性の補気類も一緒に使います。温性の補気類には、次のようなものがあります。

  • もち米:脾のはたらきを高め、汗を止める
  • 栗:下痢を止め、血流を改善する
  • 南瓜:脾のはたらきを高める
  • いわし:血を養う
  • 太刀魚:胃の不調をよくする
  • うなぎ:筋・骨を強くする
  • 鶏肉:精と髄を補う
  • 大棗(なつめ):血を養う

体の中の冷えをとる、温裏類

体の中が冷えている状態を裏寒証と言います。裏というのは、体の中のことです。裏寒証は、寒邪が体の中まで入り込んだり、体を温める陽気が足りなかったりして、体の中が冷えることをさします。
温裏類は、裏寒証である脾胃虚寒(お腹の冷え)や肺寒痰飲(肺が冷えて痰が出る)などに用います。

  • にら:瘀血を取り除く
  • 山椒:かゆみを止める
  • クローブ:痛みを和らげる
  • 鮭:気を補益する
  • アジ:胃を温める
  • 黒砂糖:血流をよくする
  • 唐辛子:消化を促進する
  • ピーマン:消化を助ける
  • 胡椒:痰を取り除く

簡単な使い分け

基本に使いたいのが、補気類と助陽類です。
寒い季節には煮込み料理などじっくり加熱したものが良いでしょう。

風邪予防や初期の風邪には、解表類を加えます。
汗をかくことで邪を取り除く食薬なので、汗をほんのりかく程度の使用量にします。

体の中から冷えている場合には温裏類を用います。
お腹の冷えをとるイメージです。温まれば汗をかいて消耗するので、使いすぎないようにします。

生姜しょうがは、加工によって解表類から温裏類に変わる生薬です。
乾かしただけの生姜しょうきょうは解表類である一方、蒸してから乾かすと乾姜かんきょうと名前を変えて温裏類になります。
ポイントは加熱しているかどうか。
温める効果を強くしたい場合には、生姜は加熱して使いましょう。

自分の体調や冷え具合に合わせて、温める食材を活用しましょう。
生姜やねぎなどは、薬味として添えておけば、必要な人だけが追加して取り入れることができます。
体を温めるのは、食事だけではありません。服装にも気を遣い、体をしっかり動かすことでも体を温めていきましょう。

参考文献

  • 早わかり薬膳素材:辰巳洋著(源草社)
  • 基礎中医学:神戸中医学研究会編著(燎原)
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